第2回 U-16プログラミングコンテスト札幌大会 レポート

 2019年10月12日、札幌市産業振興センターにて 第2回 U−16プログラミングコンテスト札幌大会 が開催されました。
開会式では実行委員長 八巻 正行 氏から「会場には大人も子供もプログラミングが好きな人しかいません!是非リラックスして参加してください」とのお言葉があり、和やかな雰囲気で第2回大会がスタートしました。

実行委員長 八巻氏

競技部門

 競技部門では、対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser」上で動作するプログラムのスコアを競います。CHaserはCool(先攻)と Hot(後攻)が1対1で対戦するターン制のゲームで、指定のメソッド(移動、探索、ブロック配置) を駆使してアイテムを集め、敵を倒すことを目指します。競技部門は予選と決勝トーナメントが行われ、予選では各選手が旭川高専で作成したプログラム(Bot)と対戦し、そのスコアで順位が付けられます。決勝トーナメントでは、予選の順位をもとに作られたトーナメント表にしたがって試合が進められます。第2回札幌大会の競技部門には6名の応募があり、これから6名の出場者が作成したプログラムによる熱い戦いが始まります。

競技部門予選

 対戦前に選手一人一人から意気込みをインタビューしました。競技部門出場者たちは「前回出場時の悔しさを胸にがんばります!」「全力で作ったプログラムなので頑張ります!」とそれぞれに熱い思いを示していました。第二回大会初戦は藤田選手 対 Botでした。藤田選手のプログラムは順調にアイテムを取り進めた上で、相手の駒の上にのしかかって倒す「Put勝ち」によって勝利しました。アイテム獲得のポイントに加えて、Put勝ちによる残りターン数に比例したボーナスが加わって67点というスコアでした。初戦からレベルの高いプログラムに会場では歓声が上がりました。その後も全体的にレベルの高い戦いが続きましたが、予選1位は93点を獲得した市毛選手でした。市毛選手のプログラムはアイテムを取り続け、ターン消化によって試合終了となりました。予選1位の市毛選手と2位の阿賀選手は、それぞれ決勝トーナメントでシードを獲得しました。

競技部門決勝トーナメント


 午後からは、いよいよ決勝トーナメントが始まります。決勝トーナメントでは予選のスコアを元につくられたトーナメント表にしたがって試合が行われます。対戦する2人の選手のプログラムは、COOL (先攻) と HOT (後攻) を交代して2戦します。ここで2勝したプログラム、または1勝1敗でアイテムの総取得数が多いプログラムが勝利となります。
 決勝トーナメント1回戦は白戸選手と長谷川選手の戦い。1戦目ではターン消費による試合終了でアイテム取得数が多かった長谷川さんが勝利。そして2戦目ではまさかの引き分けとなり、さらにもう2戦することになりました。これには審判長の下村先生も驚いた様子で「できるだけ引き分けにならないようにマップを作っているので、とてもレアなケースだと思います」と語りました。4回に及ぶ試合を経て、白戸選手の準決勝出場が決まりました。その後もハイレベルな試合が続き、決勝には市毛選手・阿賀選手が進出しました。
 準決勝の後は3位決定戦です。U16プロコン全道大会へは本大会の上位3名が出場できます。全道大会への出場権をかけて、白戸選手と藤田選手の対戦が始まりました。アイテムとブロックが一面に散らばっているようなマップで、下村審判長からは「閉じ込められないように注意が必要ですね」とコメントがありました。2戦ともにターン消化による試合終了で、1戦目は4ポイント差で、2戦目は3ポイント差でどちらも藤田選手の勝利となりました。非常に接戦で会場では大きく歓声が上がりました。この戦いで藤田選手は全道大会への出場権を手に入れました。

 続いていよいよ決勝戦、市毛選手と阿賀選手の対戦が始まります。決勝戦のマップはブロックの多く配置されたマップでした。Put勝ちのチャンスが多くなるので、相手の駒と接近したとき、どのように行動するかが勝敗を左右しそうなマップです。1戦目は市毛選手がCOOL、阿賀選手がHOTで試合開始。両者ともにアイテムを取り進めていきますが、市毛選手の駒がブロックの横にいた所を阿賀選手の駒がPUT。その時点でのアイテム取得によるポイントは市毛選手の方が30ポイント高かったのですが、Pushされてしまったことにより0ポイントに。1戦目は阿賀選手が制しました。2戦目では先攻後攻を入れ替えた上で、1戦目と同じくブロックの多いマップでの試合となりました。開始後しばらくの間は両者アイテムを取得し続けていましたが、次第に近づいていく2つの駒に会場に緊張が走ります。2つの駒が隣り合ったところで「あぁー!」と歓声が上がり、次の手で市毛選手がPut。決勝戦2戦目は市毛選手の勝利でした。この2戦で1勝1敗となったので、ポイント差で勝者が決まります。両者のポイントは26対7で、市毛選手が優勝しました!見事優勝を勝ち取った市毛選手は「1戦目で今年のプログラムを、2戦目で去年のプログラムを使った。全道ではPutで負けないように頑張りたい」とコメントしました。臨機応変に戦いに挑んでいたことが伺えますね。
また、優勝の市毛選手と準決勝で接戦を繰り広げた白戸選手には審判長特別賞が授与されました。 競技部門の結果は以下のようになりました。

優勝 市毛 大渡 さん 北海道教育大学附属札幌中学校
準優勝 阿賀 正翔 さん 札幌龍谷学園高等学校
第3位 藤田 響 さん 札幌市立東月寒中学校
審判長特別賞 白戸 健太 さん 札幌龍谷学園高等学校

 審判長の下村幸広先生 (北海道旭川工業高等学校) はここまでの試合を振り返って「相手やマップも戦いによって変わるので、最強のプログラムというのはなく、その場その場に応じた動きをしなくてはならない。U16プロコンがプログラミングのゴールではないので、これからも人を驚かせるようなものを作ってほしい。」と選手たちを鼓舞しました。
本大会の上位三名、市毛選手・阿賀選手・藤田選手は全道大会への出場権を手に入れました。全道大会でも札幌の力を見せてほしいですね!

作品部門

 作品部門はコンピュータグラフィック、初音ミク、Webページ、自作のプログラムなど、自由に作成したデジタル作品であれば何でも応募可能であり、それを審査員が評価する部門です。今回は5校から68作品が集まり、会場に展示されたほか、見学に訪れた実際に作品を操作して楽しむことができました。

 作品部門の結果は以下のようになりました。
金賞 野村 一護 さん 帯広市立光南小学校
審査員特別賞 猪瀬 豊 さん 安平町立追分小学校
奨励賞 黒川 千紘 さん 札幌市立中の島小学校
奨励賞 石狩市立聚富小学校 5年生の皆さん
奨励賞 石狩市立緑苑台小学校 4年1組 4年2組 の皆さん

野村さんの作品「頭文字ファイト」

 金賞は小学3年生の野村さんの作品「頭文字ファイト」でした。「頭文字ファイト」はバトルゲームを通して英単語の勉強ができる作品で、R・G・Bの文字が現れるたびに、それぞれRed・Green・Blueの色のバーにアタックすることで敵に攻撃します。審査委員長 林 禎康 氏(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)は「アプリケーションとしての完成度が高かった。メニュー画面や点数の表示、ゲーム結果の音声読み上げまであり、驚いた」と野村さんの作品を高く評価しました。
 そして審査員特別賞は小学2年生の猪瀬 豊 さんの作品 「豊の計算機」が選ばれました。猪瀬さんは小学2年生にしてPythonで計算機を作りました。猪瀬さんによると、去年参加した時にはScratchを使ったので、今年はPythonに挑戦したとのことです。猪瀬さんの知的好奇心旺盛さが感じられますね。この作品に対して林 氏は「小学2年生でPythonのコーディングに挑戦したポテンシャルを評価したい。計算機はとても奥の深いアプリケーション。これからも頑張ってほしい」とコメントし、猪瀬さんの好奇心と行動力を評価しました。

表彰式

 表彰式では競技部門・作品部門の入賞者に大会実行委員長 八巻さんより賞状と花束、賞品・副賞が手渡されました。

競技部門

  • 優勝 市毛 大渡 さん Note PC (ASUS ROG STRIX GL503GE SCAR Edition GL503GE-SCARPRO) (U16プログラミングコンテスト実行委員会より)、図書カード 3,000円、シンガソン -Bluetooth カラオケマイク- (アイ・オー・データ機器 提供)(IT- ジュニア育成交流協会 様より)、花束 (花の池田屋 様より)
  • 準優勝 阿賀 正翔 さん 図書カード 1,000円、チタニウムコート ヘッドフォン (エレコム 提供)(ITジュニア育成交流会 様より) 、Ozobot EVO (キャスタリア様より)、花束 (花の池田屋 様より)
  • 第3位 藤田 響 さん 図書カード 1,000円、PCケース (ITジュニア育成交流会 様より)、花束 (花の池田屋 様より)
  • 審判長特別賞 白戸 健太 さん 図書カード 1,000円、タブレットケース (ITジュニア育成交流会 様より)、花束 (花の池田屋 様より)
競技部門出場者

作品部門

  • 金賞 野村 一護さん 図書カード 3,000円、プレゼンテーションポインター (logicool・日本事務機器 提供)(ITジュニア育成交流会 様より)、花束 (花の池田屋 様より)
  • 審査員特別賞 猪瀬 豊さん 図書カード 1,000円、 チタニウムコート ヘッドフォン (エレコム 提供)(ITジュニア育成交流会 様より)、花束 (花の池田屋 様より)
作品部門出場者

 大会の最後は「今まで頑張ってプログラムを作ってきたのが伝わってきた。出場者の皆さんにはぜひ後輩たちにプロコンで培ったことを伝えてほしい。全道大会に出場する3人は、札幌の力を見せてきてほしい。」という実行委員長 八巻 氏の言葉で締めくくられました。
 もし皆さんの周りにプログラミングに興味のある中学生や小学生がいたら、是非このU-16プロコンを紹介してあげてください。仲間たちと一緒にプログラミングを楽しみましょう!

出場者全員で記念撮影

レポーター:LOCAL学生部 はいばら